冷蔵と冷凍

数日前、或るパン屋のサイトを見てたら、早めに食べないパンは冷蔵保存して
下さい、とあった。そのパン屋の主人のキャリアは20年以上。一方、別のパン
屋のサイトでは、パンはスライスして1枚1枚ラップして冷凍保存して下さい、
とあった。あちこちのパン通のサイトでは、後者のスライス・ラップ冷凍が
定番で、昔から、よく思っていたことは「そんな面倒なこと、やってられない」
だった。密封性の高い袋を使えば、ラップの手間は不要。「Q&A」参照。


それから、冷蔵保存は厳禁。冷凍はOKで、冷蔵がダメな理由は、パンの水分の
飛び方の違い。冷凍−18℃だと、水分は飛ぶのではなく、凍る。
冷蔵3℃〜7℃では、水分は凍らず、蒸発するだけ。問題は水分保持だから、
凍った水分は保持されてトーストする度に新鮮で、蒸発した水分は戻っては来な
いでパンが死ぬ。
完全密封用のガス袋・真空パックなら冷蔵でもOKだが、パンには適さない。
ここがややこしいところ。
ラップは薄いし、若干だけど通気性あるから、完全密封にはならない。
PANKEN使用の厚みあるポリ袋(0.05〜0.06ミリ)でも若干の通気性ある。
ラップにしろポリ袋にしろ通気性がないと、逆に食品が傷んでしまう場合あり、
たとえば、PANKENのパンをガス袋に入れてみたら、湿気でぐじゃぐじゃに
なる。真空パックしたら生地が潰れてしまう。許容範囲の微量の通気性を考えて、
ラップは絶妙に開発されてるし、PANKENでは、同じ観点からポリ袋の厚み
を選択している。で、冷蔵だと、通気性ある限り、乾燥がはやい。常温は微量の
通気性なら、許容できる範囲。冷凍なら、パン生地内で水分が凍り、保持される。
微量の通気性があれば、ラップおよび袋の内側で水分ぐじゃぐじゃのまま凍った
りしない。


通常の冷蔵はパンには最悪だけど、上記のパン屋は、単に「冷蔵保存して下さい」
と書いてあるだけで・・・長年パン作ってる職人で、わかっていないことの不思
議を、どう理解すればいいか。謎。焼き立てのパンを当日以内に売ること、
それしか考えてなくて、その後のパンの変化に無頓着? どうせ、翌日になれば
不味くなるパンしか作っていないから、冷蔵保存してカビの劣化を防げたら、
それでいいと思っている? よくわからないが、種類多く店頭にパンを毎日並べ
るパン屋の仕事は多忙。朝は3時、4時からスタートし・・・売れたパンのその後
を考える暇のないほど、パン作りに追われている? それで食のプロなのか。
殆どの主婦のほうが、冷凍と冷蔵の違いぐらいわかっている。


もっともっと素人になると、パンを冷凍するなんて・・・と言う。常温でちぎ
っては食べる習慣による大きな誤解。上記のパン屋もその範疇にいるから冷蔵など
と口にするのか・・・


PANKENのパン、冷凍1ヶ月を過ぎても美味しい、と言って下さるお客様
おられる。常温1週間過ぎても、日に日に美味しくなるという感想も頂いた。
有機の素材と天然酵母のなせるワザ。私は、自然の恵みに誘導されているだけ。
たかがパン職人の力など、しれている。