ポジティブリスト制度。神田古書街。

食品の残留農薬に対する規制、ポジティブリスト制度が29日から施行。
規制対象農薬が283品目→799品目に増えたとのこと。その大幅な変化
は評価できるものだけど、一昨日までは283しか規制されていなかった
のか、ということになる。食品流通の世界は消費者にとっては恐怖だね。
生産者は大変、消費者にはありがたい制度、というニュース流れたが、
そもそも生産者と消費者を分けて考えることがおかしい。生産者も全員
消費者だしね。


25日26日と東京滞在。9年間住んだ土地だから、別段、なにか
新鮮に感じることもないのですが、あらためて好きな場所だと再確認。
初日の午後、4時間どっぷり神田古書街に。東京で最も好きな場所で。
単に本を仕入れるならネットで注文するのが便利だし、安く買うなら
ブックオフでもいいのですが、神田古書街にしろ早稲田古書街にしろ、
たくさんの古書店が集結した街であり、専門書いろいろ、一軒一軒の店
それぞれの特徴、独特の密度を持っていて。新刊本の店もあるから、
新旧ひっくるめて本というものの市場を横断していく具合で、流行、
普遍、軽さ重さ、ニセモノほんもの、いろんな断面を一気に体感できる
ような。訪れて大量に本を買う場合もあれば、なにも買わない場合もある。
今回なら1冊だけ。トマス・ピンチョン「競売ナンバー49の叫び」。
多様な世界を構築できるアメリカの作家で、ピンチョンの「重力の虹
には圧倒された。
単純に言えば、読みにくい作家。読みやすい作家が殆どの本の世界。
読みやすい本を読んでなにが楽しいのかよくわからないのだけど、
読みにくい本ってどういうものか、実際は、読みにくいわけではなくて、
たとえば、ここ2ヶ月、サミュエル・ベケットの全作品を見直している
のですが、この人、ものすごく易しい言葉しか使わなくて、でも、難解
とも言われ、なにが難解なのか、よくわからない難解さで。要するに、
こうなって、ああなって、こうなる、あるいはドンデンでハッとして、
興奮して、満足する、感動した、いいお話だった、泣けた、笑えた、
意外性もあって、ストーリー展開が上手、これらすべての予定調和を
なぞるように進行するのが読みやすい本で、難解といわれる本は、それ
らすべてを壊していく。想像できる諸々を少しでも超えていく持続力の
果てになにが書かれているか、ということに興味がある。
殆どの本は、書かれていることに真の意外性はないと思える。
ただ心地よくハラハラしてわくわくして、既に見えているものしか
書かれていない、いや、見えているものを表現した気になったものしか
書かれていない、ならば、別に本を読む必要はないんじゃないか。


東京でパン屋は1軒だけ行った。富ヶ谷の「ルヴァン」。
店主の甲田さんもおられた。6種のパンを隣接した店で頂いた。
天然酵母の王道のパン群。僕は常温パンのすべてに否定的ですが、
ここのパンは好きです。特製のごまみそペースト、美味しいねえ。