有機の味覚とデンマークのライ麦

>メロンパンと言えば○○○のはかなり美味しいですよ!


でも、化学イースト+非・有機だからね。○○さんが美味しいというのは、
美味しいと信じています。それは素直にそう思っています。

先日、お客様と「有機の味覚」というものについて、やりとりしたのですが、
有機と知ってから食べるパンと、有機と知らずに食べる有機のパン。
どちらにしても、有機の味覚をもっている人は、わかるんです。
化学イーストか天然酵母か、天然酵母+化学イーストか、素材の説明なしにわかります。
で、化学イースト+非・有機が不味いかとなると、一般的には美味しいんです。
でも、有機の味覚を持っている人にしたら、それは確実に不味いんです。
だから、そのメロンパン等を○×○さんが美味いと言ったりすること、
○×○さんだけでなく、多くのパンのライターが美味しい、不味いと言うことは、
PANKENのコンセプトからすると、すべて、曖昧になってしまうのです。
曖昧な場所で、無邪気に美味しい、不味いといっても、
僕には、どうでもいいことになってしまうのです。
美味しいものは、いくらでもある、と最初に認めています。
だから、どうなの? なにを求めているのか、となって、開き直って、
化学イースト最高、と言うパン通がいたら、僕は、その人に、拍手します。
その人は、曖昧ではないから。

結局、PANKENとしては、革新的なパンのみ作って行きたいと考えているので、
世の中に氾濫している美味しいパン群と、確実に差別化できる美味しいパンを
コンセプトにしており、第一は、やはり全素材有機の安心・安全なパンということに
なりますね。
パン業界の全体が一応、見えたら、存在していないパンを作る。

でも、パンの大きな歴史というものがあるから、既成のものを破壊するだけでなく、
歴史のなかに、個人のパンが、どういうふうに生き残れるか、それは考えるんです。

酸味のない、サワー種を使わないパンとしてのPANKENの「ライ麦」。
先日、デンマークライ麦パンは、サワー種を使わず、独特の酵母を使い、
酸味が弱いと知りました。
PANKENの「ライ麦」の製法は日本には存在しないと思っていたら、彼の国にあった。
そういう歴史には逆らわないし、知ったときは、少し、嬉しくも感じました。

ちなみに、じゃあどうして一般のライ麦パンは、サワー種等の酸味を加えるか。
ライ麦は酸味系ではない天然酵母を入れても膨らみにくく、発酵中の生地はベタベタになり、
パン職人泣かせであるため、そこに酸味の素材を加えるとベタベタがなくなって、
作りやすくなるから、と或る本に書いてあった。

たしかにそうなんです。PANKENの「ライ麦」はとても作りにくいです。笑。