パンの味と安全性と姿形

先日、テレビで、とあるパン職人の仕事を見た。
バタールにクープ(切れ目)を入れる。
1ミリのズレも許さない。均一のクープの長さ、間隔、
全体のバランス、それらすべて揃ってはじめて均一の
姿形となって、店に並ぶ。
多くのパン職人は、そういう技量を目指しているのだろう。
見た目の美しいパンは美しい。
だけど、自然の膨らみで、いびつに裂けたりしたパンも
僕は美しいと感じる。すべてが均一の美しい姿形を持つ必要が
あるのだろうかと思ってしまう。
パンに限らず、たとえば、日本の果物、店頭に並ぶイチゴの
粒の大きさの統一性は必要なのだろうか。
外国に行くと、日本の均一性が特異な形態に思える。
均一、画一、統一にこだわらない、むしろ変形、欠片、ばらばら
な姿形の農産物を集めた売り場や露店に出会うと、そのほうが
合理的で経済的で自然なことに思える。日本でもごく稀に出会う。
ただ、土をわざわざ付けて、自然ふうな装いにして売る作為的な
商法もあるから、何がいいかは見極めないといけないけど。


とにかく第一は味と安全性(有機)。
姿形に関しては、多少の誤差は自然の一部と捉えたほうが
精神的にもストレスから解放されると思うけど、いかがなもの
でしょうか、多くのパン職人へ。
ちなみにPANKENのパンは、一個一個のパン、全然均一ではないです。
ただ、パンの基本重量は徹底して厳守しています。
味の追求において、たとえば、素材1gの重量に注意して作って
います。粉1g、水1gで味が変わるからです。
パンを作る過程での水分管理もかなり徹底しています。
空気に晒す時間は極力短くして、生地の乾燥を防ぎます。
なので、多くのパン工房にあるような、生地を粉まみれにして
僕にしたら長時間に思えるほどに生地を空気に晒すことはしないし、
手にべとつくからと言って、打ち粉まみれにすることもない。
というか、打ち粉は使用しません。
打ち粉を使うと、生地の水分を奪って乾燥させてしまうという考えです。
パンの大敵は乾燥。(当初から言い続けていることですが)

2004-07-28 陳列パン vs PANKEN
http://d.hatena.ne.jp/panken/20040728

と、少し専門的な話になったけれど、要するに、徹底して気にする
ところが、違うということです。













.